ふと、目が覚めた。
ここは一体どこだろう……。
周囲はただのたんぼ道。
通学によく使う道だ。
確か……レナを探しにゴミ山に行こうとしたまでは覚えている。
それから……えっと……。
「あ、いたいた。おーい圭ちゃーん!」
立ち上がった俺に、後方から呼びかけてくる人がいる。
圭ちゃんなんて呼ぶのは、魅音か詩音しかいない。
俺は振り返りながら、姿を確認する……。
「な、なんだぁ!?」
そこには、内股で走りながら手を振っている富竹さんがいた。
「圭ちゃ~ん!!」
汗をかき、全力で走りながら、俺の名前を呼ぶ中年。
「ひ、ひぃぃ!!」
俺が全力で逃げ出すのに躊躇いはいらなかった。
「も~! なんで逃げるの圭ちゃん~! おじさんが折角探しにきたっていうのにー!」
おじさんはおじさんでも本当のおじさんになってるじゃねぇか!!
あ、あんなの魅音じゃねぇ!!
逃げ続ける俺……段々距離が縮まって来た……。
やばい……捕まったら何をされるかわかったもんじゃない。
「みー。圭一、なにを慌てているのですか?」
り、梨花ちゃ……じゃなあああああああい!!
目の前には、小首を傾げて不思議そうな顔をしている赤坂さんがいた。
「みー?」
「ぎゃああああああ!!」
俺はまたも全速力で走り出す。
なんだよこれなんだよこれ。
めちゃくちゃ怖いじゃねぇか!!
畜生なんだよこれ!!?
「あらあら、圭一さんは何をなさってるんですの?」
横から声をかけられ、俺はもう……覚悟していた。
見た瞬間に駆け出す。
「な、なんですの圭一さーん!! 私を無視するなんてー!! むきー!!」
監督の姿をした沙都子だった。
涙がぼろぼろ流れる。
なんだこの雛見沢は、こんな……こんな雛見沢俺はイヤだ!!
がむしゃらに走り続け、気が付いたらゴミ山にいた。
「圭一君……」
不意に聞こえた声。
そう、ここに来て俺はやっと理解した。
俺は、彼女を待っていた。
この悪夢を唯一、きっと終わらせる事が出来る。
ゴミ山の上、車の上で両手を広げるレナ。
「れ、レナ……頼む!! あの言葉を言ってくれ!!」
早く言ってくれないと……!!
「おーい、圭ちゃーん」
「圭一ー、大丈夫なのですかー?」
「ちょっと圭一さん!! どこまで逃げるつもりなんですの!?」
あの化け物どもが来ちまう!!
「レナあああああああああああ!!」
「嘘だっ!!!!!!」
彼女の魔法の一言が放たれた瞬間、俺は自室で目が覚めていた。
夢、か……。
ふとカレンダーを見て、確信する。
今日は、四月一日だったからだ。